健診での胃カメラ・大腸カメラを考える

あなたに胃カメラ・大腸カメラは必要ですか?
 胃がんや大腸がんの早期発見ツールとして、多くの方が胃カメラや大腸カメラの検査を受けています。人間ドックのメニューにも内視鏡検査が盛り込まれていることが多くなっています。安易にこの内視鏡検査をすすめる風潮もあります。確かに内視鏡検査は胃がんや大腸がんの確定診断を行う上でとても重要な検査ですし、鮮やかな映像で的確な内部の情報が確認でき治療方針の決定に大きな役割を果たしています。便潜血検査で陽性であったり、ピロリ菌感染が確認されたり、胃痛など様々な症状があるなど、治療上、内視鏡検査が有効であると診断されたときは躊躇なく受けていただきたい検査ですが、この検査は経済的にも身体的にも負担が大きいだけでなく、一定のリスクのある検査でもあります。健康な人ががんの早期発見のために、この内視鏡検査を安易に選択すべきか、考えていただきたいと思います。

「大腸カメラでは10万検査に一人の死亡事故」〜内視鏡検査の事故

 胃カメラや大腸カメラの検査を受ける場合、検査時に起きた偶発症と呼ぶ検査事故について、事故に備えての体制・事故時の対応や補償についての説明があり、施設の責任などについて「同意書」にあらかじめサインが必要なことが一般的になっています。たとえば国立がんセンター中央病院の胃カメラに関するサイトでは、(1)使用する薬剤(咽頭麻酔薬・鎮痙剤・鎮静剤)によるアレルギー反応(ショック)、低血圧、低血糖、不整脈、呼吸抑制、呼吸停止、心停止など事故 (2)咽頭・消化管の損傷・穿孔(穴が開くこと) (3)出血 (4)誤嚥性肺炎 (5)顎関節の脱臼・歯牙損傷 などの事故をあげており、重篤な偶発症の発生率0.005%(約2万人に1人)、それに関連した死亡例が0.00019%(約50万人に1人)であるとリスクを説明しています。(中央病院の胃カメラのサイト
 同病院の大腸カメラのサイトでは大腸検査での重篤な偶発症発生率0.012%(1万人に約1人)、それに関連した死亡が0.00082%(約10万人に1人以下)と記載されています。「出血・腸管穿孔(腸に穴が開くこと)は頻度を0.04%(約1万人に4人)とし、このような重篤な偶発症が発生した場合には、再検査や輸血、緊急外科手術も考慮した治療が必要となる場合があります。」と注意喚起しています。(中央病院の大腸カメラのサイト) この他ネット上には「医療消費者ネットワーク」のサイトをはじめ多くの検査事故の事例や医療訴訟などの情報があふれています。



胃がんや大腸がんの罹患率と死亡率
国立がん研究センターからの調べでは胃がんの罹患率・死亡率は以下のとおりです。
下表は10万人中の胃がん・大腸がんの年齢別の患者数と死亡者数です。
10万人中  胃がん  大腸がん  
 罹患 死亡 罹患 死亡
 20〜24  0.5 0.2  0.6  0.2
 25〜29  2 0.6  3  0.3
 30〜34  4 1  5  1
 35〜39  7 2  10  2
 40〜44  13 4  18  4
 45〜49  29  6  39  8
 50〜54  54  10  62  14
 55〜59  99  21  107  26
 60〜64  155  40  159  45
 65〜69  220  60  208  61
単純計算ですが、たとえば40〜44歳の年齢層ですと、10万人中に約18人の大腸がん患者が発生することになります。しかし大腸カメラの検査では10万人中に10人程度の重篤な検査事故と1人の死亡事故が起きていることになります。内視鏡の有効性については検査リスクを考えると疑問が生じます。これは胃カメラにおいても同様です。

内視鏡検査を受ける前にピロリ菌検査や便潜血検査を受けましょう
胃がん患者の98%以上がピロリ菌感染者であったという報告があります。また大腸がん患者の82%が便潜血検査2日法で陽性反応を示しているという報告があります。(下記参照)この事から「ピロリ菌検査で陰性の方や便潜血検査が陰性の方がガンである可能性は非常に低いことが解り、リスクのある内視鏡検査を受ける必要度は低い」と考えることができます。しかも早期発見を考えると内視鏡検査を繰り返し受ける必要があり、内視鏡検査のリスクはさらに高くなります。

 胃がん患者の95%以上がピロリ菌に感染していたという報告。
週刊ポスト「胃がんの原因の99%がピロリ菌であった」
読売新聞「胃がんの主犯のピロリ菌を見逃すな」
沢井製薬「胃がんの99%はピロリ菌が関与」
大腸がん患者の82%が便潜血検査で陽性反応であったという報告。
国立がん研究センター「科学的根拠に基づく健診」
大阪がん予防検診センター「がん検診の感度・特異度」



胃カメラ・大腸カメラ(内視鏡検査)を受けるにあたって
 このサイトでは内視鏡検査を否定的に記述している部分が目立ってしまっていますが、最新の内視鏡カメラは鮮明な画像で、胃がんや大腸がんの確定診断及び治療方針の決定、また胃潰瘍や大腸炎などがん以外の傷病も含めて、状況把握・治療方法の決定などにおいてとても有効な検査です。ピロリ菌検査や便潜血検査で陽性であった方や、様々な症状から内視鏡検査をドクターから勧められた場合は躊躇なく受診されることをお勧めします。ただし治療上必要な内視鏡検査はともかく、胃がんや大腸がんの早期発見を目差した健康診断としての内視鏡検査を受ける場合、受診施設を選ぶにあたって次のような点を留意していただきたいと思います。

(1)ネットなどでのよい評判はあまりアテにならない。
 リスク回避という点ではネットでの評判はあてになりません。内視鏡検査では苦痛の少ない楽な検査が喜ばれます。鎮痛剤や麻酔を使い、短時間で手際よく行う検査が評判につながります。偶発症(検査事故)は胃カメラでは2万件に1件、大腸カメラでも1万件に1件程度です。かなり多くの内視鏡検査を実施している施設でないと、事故の経験は少ないと思います。胃や大腸に穿孔事故を起こした場合、手術など外科的措置を速やかに行う必要があります。これらの体制が整備できているかが重要になるからです。特に麻酔などを使用する場合は、呼吸停止など問題発生時に受診者からの訴えはなく、全身の管理が必要になります。まだまだ検診でこのあたりの体制が整備できているところは少ないと思います。内視鏡機器はデジタル化で高性能化とともに低価格化が進んでおり小さなクリニックでも配置可能になっています。治療としては大きく貢献しているのは確かですが、健康な人が受ける検診での利用を考えるとき、設備の有効利用(収益対策)として内視鏡検査を実施している所もあると考えられます。私が以前、事務長をしていた病院でも「週に1回、アルバイトで内視鏡の訓練を受けた医師に来ていただいて大腸カメラによる検査」を実施していましたが、経営的には貢献したものの万一の時の十分な体制が取れないという理由で、この検査自体をやめた経験があります。

(2)検査実施件数が多く複数の医師によるチーム体制で内視鏡検査を実施している医療施設での受診をお勧めします。
 特に50代くらいまでは胃がんや大腸がんの可能性は、前項のとおりとても低いです。ピロリ菌検査や便潜血検査で陰性の方にとっては尚更です。ある意味、念のためにガンの早期発見を目差した検査です。また早期発見のためには繰り返し受けなければ効果はありません。このあたりを考えると、内視鏡検査は安全性第一で施設を選択してください。検査実施件数が多いと、検査時の様々なトラブルの経験が蓄積されています。複数の医師が内視鏡検査に関わることで、多くの医師によるチェック効果が働きます。経営面などから必要以上に苦痛のない検査・短時間の検査にこだわるような事も少ないと考えます。

(3)内視鏡検査中の万一の事故(偶発症)の時の体制や対応について、十分な説明があり整備されていることを確認してください。
 内視鏡検査では一定数の事故が発生するため、通常、偶発症に対する対応や補償について同意書の提出が求められると思います。同意書作成時に、万一の時の体制や対応・補償、偶発症についてきっちりと説明がなされるか確認するとともに、このあたりをよく理解して受診してください。同意書例(画像をクリックすると拡大します)


内視鏡事故にまつわるリンク
内視鏡検査で起きた訴訟事例
がん検診、胃カメラで食道に穴 女性入院メラで食道穿孔
延岡市医師会に569万円支払い命令 地裁支部 /宮崎
内視鏡検査中の偶発症

「バリウム検査は意味がない。最初から胃カメラを飲むべきだ」は本当か?
 なんらかの「症状」や「胃がんの疑い」があり治療として胃カメラ検査が必要とされることはあります。治療の診断のツールとして内視鏡は重要です。ここでは健康診断や人間ドックの検査項目としての内視鏡のメリットとデメリットを考えます。検診で大腸がんや胃がんの疑いが指摘されると、精密検査として胃カメラや大腸カメラが指示されます。「確定診断でどうせ内視鏡検査が必要なんだから最初から内視鏡検査を受けたほうが良い」というもっともな意見があります。

バリウム検査が広く行われている理由には「安全面」「コスト面」「キャパシティー面」の3点があると考えられます。

【安全面】 バリウム検査の問題点として被爆があります。基本的に検査時の被曝量は非常に小さく健康上問題はないとされています。バリウム検査の被爆による被害が確認された事例もありません。ただし大量被曝が身体に害を与えることははっきりしており、出来れば受けたくないものであることは確かです。これに対して内視鏡の検査は穿孔(胃袋や腸などに穴をあけてしまう)や麻酔によるショック症状など、入院治療が必要なトラブルが1万件に1件以上、死亡事故も10〜50万件に1件くらいの確率で起きており、年齢によっては1万件に1件程度しか見つからない「がん発見」のツールとしては、そのリスクも考えなければいけない検査となります。バリウム検査のように団体検診などで、多くの人が内視鏡検査を受けることになれば、トラブル件数も比例して大きくなることが予想されます。

【コスト面】バリウム検査はドクターがいなくても放射線技師を配置するだけで1日に数十件の検査を実施することができます。そして放射線技師が撮影した画像を医師がまとめて読影(判定)することが可能です。検診のコストにおける医師の人件費はとても大きなものになります。これが内視鏡検査では、特別な内視鏡の訓練を受けた医師が1日に数件の検査しか実施できません。また検査事故に対する対応や体制の整備、麻酔を使用する場合などはその体制整備などにも多くのコストがかかります。

【キャパシティー面】内視鏡検査は特別な訓練を受けた医師が1日に数件の検査しか出来ません。多くの検査を実施するには検査数に応じた医師の配置が必要です。穿孔事故などのリスクもあり充分な経験の積んだ医師が必要で。熟練の内視鏡医師は検査でなく内視鏡手術などの治療も抱えています。また検査事故時の対応や体制整備における人的な確保も必要であり、特に集団検診での内視鏡の使用には課題が多いです。

 デジタル化の進展により内視鏡機器自体の価格は下がっており、まだまだ高額ですがクリニックなどでも購入可能となってきました。繰り返しますが治療の機材としてはその鮮明な画像で患部を確認でき、非常に有効ですが、一部には設備の効率的な運用のため不十分な体制での検診、特に「痛みのない麻酔を多用した検査」が実施されている話も聞きます。

大腸カメラは操作する医師の技量に差があるのか
 内視鏡、とりわけ大腸カメラの技術レベルには大きな差があると言われています。胃カメラや大腸カメラの説明にもよく「施術する医師の技量に大きけ左右されます」あるいは「医師の技量がよく、痛みが少なかった」などの記載が見られます。また「大病院の若い医師に当たるより、クリニックのベテラン医師のほうが腕が良い」という話も聞きます。大病院で内視鏡の経験を積んで開業したクリニックで内視鏡カメラを導入し、高いテクニックで多くの検査をされているドクターもいらっしゃいます。確かに、このような施設では手早くて痛みの少ない検査が行われ、ネットなどでも高い評価が与えられていると思います。特に痛みを和らげるため麻酔を使用している施設では、逆に受診者からの痛みなどの訴えがないため、呼吸管理など細心の注意が必要です。  大腸の形は教科書などに出ていた形をイメージできると思いますが、実際の形は様々で特に日本人の大腸は「ねじれ腸」であることが多いと言われています。大腸の内側を傷つけずにカメラを進めながら観察を続けるには、当然高度な技術が必要となります。このような状況の中で手早くしっかり観察を行う必要があるわけです。

「ポリープがあったので念のため取っておきましょう」 〜 過剰診療の恐れ
 内視鏡検査を行うと、かなりの確率でポリープが発見されることがあります。大腸がんのほとんどはポリープが大きくなりガン化したものと考えられます。しかしポリープのほとんどは大きくなったり悪性化しないのも事実です。(オデキのほとんどが皮膚がんにならないのと同じです。)最近はポリープが見つかってもむやみに切除してしまうわけではありませんが、比較的小さなポリープが見つかっても「念のため切除しておきますか」と確認されることになります。
内視鏡検査をしなければ放置されていたポリープです。5mmまでのポリープでしたら1000人中995人が何事もなく健康に生活できるデキモノです。ほとんど問題ないわけですが、これもまた一定のリスクのある切除術ですが、受ける方が多くおられるようです。この調査の年齢分布が不明なのですがポリープの組織を調べていることから中高年、特に高齢者の比率が高いことが予想されます。そう考えると、5mm未満のガンの確率は検査も受けていない一般の方の確率と大差ない事になります。


リンク集 
40歳までの検診や人間ドックを考える
75歳までの健診や人間ドックを考える



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 毎年、12万人もの方が大腸がんを発症しています。大腸がんの発症は60歳以上の方に多いため、医療に携わる者も含めて若い人は、たとえ症状が出ていても見過ごされがちですが、30代で1000人程度、40代では約5000人の方の大腸がんが発見されており、見過ごせない実数となっています。仕事や子育てに忙しい30〜50代の方々の大腸がんは、高齢者に比べ侵攻が速いことが多く、また発症した時の仕事や家族の生活に与える影響も深刻です。近年、大腸がんは早いうちに見つかれば治る病気と言われていますので、特に早期発見が重要と考えますが、この検査の受診率は高くありません。

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大腸がんに関するリンク集

財団法人 日本対がん協会 大腸がん検診の流れとその効果 
*大腸肛門病辞典 「大腸.COM」 
*科学的根拠に基づくがん検診推進のページ 
*特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会「ひろげよう。大腸がん検診の輪」 
がんの統計 - がん研究振興財団 

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