感染したピロリ菌は、胃酸から自らを守るためウレアーゼという酵素を分泌して胃酸(酸性)を中和します。この時に生成されるアンモニアによって胃の粘膜が炎症を起こしダメージを受けます。これにより胃の内壁が直接胃酸にさらされ、慢性胃炎や胃潰瘍などの原因となってしまいます。ピロリ菌による影響が長期間にわたって繰り返されることで、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、胃ポリープなどを発症します。
胃粘膜の損傷が続くと胃粘膜が萎縮した萎縮性胃炎に進みます。スウェーデンでの調査では1979〜2011年までに内視鏡検査と生検を受けた約30万人の10年間での胃がん発症率が通常の256人に1人程度に対し萎縮性胃炎では51人に一人、進行し上皮が異常な形態となったものでは19人に一人が発症していたという結果が出ています。
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ピロリ菌と胃がんについて
胃酸の酸性度が低い幼少期に、多くの場合ピロリ菌に感染し、30歳以降に20%が胃潰瘍を発症、放置していると75歳までに8%の感染者が胃がんになると言われています。また胃がん患者の98%がピロリ菌に感染していたという学会報告もあります。
国立国際医療研究センター理事・ 上村直実さんと堀江氏との対談の中で、「広島大学と北海道大学で行われた3000人の胃がんの患者さんへのピロリ菌検査では陰性の方は1%もいなかった。ヘリコと関係ない胃がんは0.5%くらいじゃないか」と言われています。胃がん患者の98%以上はピロリ菌に感染していたと見られており、ほとんどの胃がんはピロリ菌と密接な関係があると考えられます。堀江氏との対談にリンク
WHOは2015年9月に「胃がんの主な要因はピロリ菌である」と報告。全世界の胃がんの約80%はピロリ菌によるもの」と報告しています。また「除菌治療によって30〜40%の胃がん発生を抑えられる」としています。また日本ヘリコバクター学会の公式サイトでも胃がん患者の98%以上がピロリ菌感染者でありピロリ菌に対する対策の必要性を掲げています。
ピロリ菌の感染が認められたら除菌治療を
基本的には医療機関でピロリ菌に感染していることを伝え、ピロリ菌の除菌を希望します。
ほとんどの場合、抗菌剤を7日間服用することで除菌することができます。除菌1ヶ月後に再検査して、ピロリ菌の除菌が成功しているか調べます。たとえば、過去に風邪などで抗菌剤を短期間服用する事を繰り返していたりすると感染していたピロリ菌に耐性が出来てしまい抗菌剤が効かないことがあります。除菌に失敗した場合は、抗菌剤の種類を変更して再度除菌を試みることになります。衛生環境が整った現在では、ほとんどのピロリ菌感染は幼少時に家族から経口感染しています。15歳くらいになれば除菌治療は可能です。ピロリ菌に感染していると、年月とともに胃粘膜の萎縮が進みます。またピロリ菌に耐性が付くことも考えられます。早めの除菌が大切です。
専門医のいる医療機関は日本ヘリコバクター学会のサイトにあるピロリ菌感染症認定医一覧から検索できます。
ピロリ菌感染が認められたら、医療機関でピロリ菌の除菌治療を受けるのが原則です。2015年より胃カメラで慢性胃炎を確認した後の除菌治療は保険適用となりましたが、健康保険を使って除菌治療を行うには、胃カメラ検査を行って慢性胃炎の状態であることを確定させる必要があります。胃カメラ検査なしで除菌治療を行う場合や、胃カメラの結果、慢性胃炎の診断がなかった場合は自費で行う事になります。(保険診療で除菌を行うにあたって、胃カメラ検査の費用が追加されるため、自費診療で除菌を行うよりも、かえって費用がかかる事があります。)
保険診療による除菌処置
厚生労働省はピロリ菌と胃がんの関係を認定し、2013年よりピロリ菌の除菌も保険診療で行えるようにしましたが、保険を適用するにあたって胃カメラ検査をして慢性胃炎の病名が確定している場合という条件をつけています。(慢性胃炎の治療のためにピロリ菌の除菌を行うのなら保険は使えるが、胃がん予防のための除菌は治療ではないという考え方からです。)したがって医療機関で除菌を行う場合、一般的にまず胃カメラ検査を受け、慢性胃炎の確認と除菌治療の必要性を確定させます。この検査で除菌治療に使用する抗生剤の決定を行う場合もあります。(自己負担 5000〜10000円) ピロリ菌の除菌療法は、1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗菌薬」の合計3剤を服用します。1日2回、7日間服用する治療法です。正しく薬を服用すれば1回目の除菌療法の成功率は約80〜90%といわれてます。(自己負担 3000〜5000円)
治療終了後4週間以上経過してから、ピロリ菌の検査を受け除菌できたかどうか確認します。(自己負担 3000円程度)
一次除菌療法で除菌できなかった場合は、再び7日間かけて薬を飲む、2回目の除菌療法を行います。2種類の「抗菌薬」のうち1つを初回とは別の薬に変えて、再び除菌を行います。(自己負担 3000円程度) 二次除菌の一ヶ月後、再検査を行います。一次除菌療法で除菌ができなかった場合でも、二次除菌療法をきちんと行えば、ほとんどの場合、除菌が成功すると報告されています。(自己負担 3000円程度)
二次除菌に失敗した場合、さらに抗菌薬を変更して三次除菌を行うことになりますが、この場合は保険適用はなく自費負担となります。(自費診療10000円程度)
自費診療による除菌処置
検査キットでピロリ菌が発見された方は、胃カメラ検査を受けずに医療機関で直接除菌治療を受ける方法もあります。ただし胃カメラをして慢性胃炎と診断されないと健康保険の適用はありません。医療機関で検査結果を提示して除菌を依頼します。自費診療でも除菌療法は同じです。「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗菌薬」の合計3剤を服用します。1日2回、7日間服用する治療法です。正しく薬を服用すれば1回目の除菌療法の成功率は約80〜90%といわれてます。(自費診療 10000円程度)
治療終了後4週間以上経過してから、ピロリ菌の検査を受け除菌できたかどうか確認します。(自己負担 3000〜9000円程度) 郵送型の検査キットで確認する方法もあります。血液や尿による抗体検査では過去の感染の影響を受けますので除菌後のチェックは出来ません。便中抗原検査で確認してください。(郵送検査キットセンター・3680円)
一次除菌療法で除菌できなかった場合は、再び7日間かけて薬を飲む、2回目の除菌療法を行います。2種類の「抗菌薬」のうち1つを初回とは別の薬に変えて、再び除菌を行います。(自費診療10000円程度) 一次除菌療法で除菌ができなかった場合は、二次除菌療法をきちんと行えば、ほとんどの場合、除菌が成功すると報告されています。 二次除菌に失敗した場合、さらに抗菌薬を変更して三次除菌を行うことになります。
項 目 | 保険診療 | 自費診療 | |
診療報酬 | 自己負担 | 自己負担 | |
初回検査 | 30000円 | 10000円 | 3800円 |
胃カメラ | |||
初回除菌 | 15000円 | 5000円 | 10000円 |
確認検査 | 9000円 | 3000円 | 3800円 |
二次除菌 | 9000円 | 3000円 | 10000円 |
確認検査 | 9000円 | 3000円 | 3800円 |
三次除菌 | 10000円 | 10000円 | 10000円 |
確認検査 | 9000円 | 15000 | 3800円 |
三次除菌には、事前に胃カメラ検査をしていても保険適用はありません。
★一部の医療機関では、健康診断でのピロリ菌検査で感染を示す結果票を持参しても、再検査や場合によっては胃カメラの検査を要求される場合があります。自費で除菌だけを行う場合、あらかじめ受診する医療機関に電話等で「自費で除菌のみでも行ってもらえるか」を確認されることをお勧めします。
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ピロリ菌・除菌の副作用
ピロリ菌を除菌するために抗菌剤を大量に服用します。
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検便で、便に混じった血液を調べる検査です。2日間の便を検査し、毎年受けることで精度を高めています。
この検査で陽性となったときは、大腸ファイバー検査を受けてください。
毎年、12万人もの方が大腸がんを発症しています。大腸がんの発症は60歳以上の方に多いため、医療に携わる者も含めて若い人は、たとえ症状が出ていても見過ごされがちですが、30代で1000人程度、40代では約5000人の方の大腸がんが発見されており、見過ごせない実数となっています。仕事や子育てに忙しい30〜50代の方々の大腸がんは、高齢者に比べ侵攻が速いことが多く、また発症した時の仕事や家族の生活に与える影響も深刻です。近年、大腸がんは早いうちに見つかれば治る病気と言われていますので、特に早期発見が重要と考えますが、この検査の受診率は高くありません。
私たちは、出来るだけ多くの方に大腸がんの検査を受けていただけるように、運用方法を工夫し、コストを見直して「郵送型の大腸がん検査」を始めました。インターネットを利用し、郵送型とにすることで、何度も医療機関や保健所に足を運ばなくても、手軽にお受けいただけます。検査の信頼度を上げるため、大手の検査機関に検体検査は依頼しています。
多くの自治体で40歳以上の方などを対象に大腸がん検診を実施しています。詳細は、各地の保健センターや保健所などにお問い合わせください。
*財団法人 日本対がん協会 大腸がん検診の流れとその効果
*大腸肛門病辞典 「大腸.COM」
*科学的根拠に基づくがん検診推進のページ
*特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会「ひろげよう。大腸がん検診の輪」
*がんの統計 - がん研究振興財団