便潜血検査では、陽性・陰性の判定を行い、陽性ならば「内視鏡検査」をおすすめするのが普通です。
便潜血検査では受診者の5〜15%程度の方が陽性と判定され、統計的には陽性の方が内視鏡検査を受けると2〜3%程度の方から大腸がんが発見されます。ただし便潜血検査を受けている方の多くは60歳以上の高齢者で、大腸がんの発症も高齢の方に集中していますので、30〜50歳、あるいはそれ以下の方は、便潜血検査で陽性でも大腸がんの確率は陽性でも1000人に一人以下と、それほど高くありませんので、必要以上に心配する必要はありません。
定量検査で大腸がんの確率をみると
当センターの便潜血検査では100ng/ml以上相当の濃度で陽性と判定しています。
以前の便潜血検査では便から血液(ヘモグロビン)が検出されれば、陽性と判定されてましたが、試薬の改良により微量の血液も検出でされるようになり、現在は一定の濃度以上の血液が検出されると陽性と判定されます。ただし陽性と判定する血液濃度は検査施設によって実はバラバラです。当センターでは100ng相当以上を陽性と判定していますが 検査センターでの試薬の違いや「仕切り値」の違いにより、判定基準は様々です。血液濃度が50ng/mlを超えれば陽性としているクリニックもあれば、150ng/mlまでは陰性としている自治体の検診もあります。定量検査では、陽性・陰性という判定だけでなく、キット内の溶液中の便ヘモグロビンの量も数値(ナノグラム)で測定し結果を数値で返します。
年齢による便潜血検査の結果と罹患率の関係をどう考えるか
次の表は宮城県が公表している追跡調査結果や・国立がんセンターの統計などから、大腸がんの罹患率を按分計算し、統計的にシュミレーションしたものです。一定の誤差は生じるシュミレーションですし、母データが高齢者中心であることから、罹患率が高めに出ている可能性はありますが、この結果を見ますと大腸がんの罹患率が1%を超えるのは55歳以上の陽性の方、定量検査では150ng/ml以上の方、60歳以上では100ng/ml以上の方、65歳以上では40ng/ml以上の方となっています。また罹患率が0.1%以下となるのは、30代までは150ng/ml未満、50代までは40ng/ml未満、60代以上では40ng/ml未満でも0.15〜0.25%程度の罹患率となるのではないかと推計できます。
内視鏡検査の必要度を見極めるための便潜血検査
大腸カメラは大腸がんの確定診断を行うには、どうしても欠かせない、最も精度の高い重要な検査です。「便潜血検査の結果が陰性でも内視鏡検査が受けたほうがよいのではないか」という意見もありますすが、経済的にも、身体的にも受診者にとって負担の大きい検査であることも事実です。大腸カメラは特別な訓練を受け技術を取得した医師が一日に数人しか実施できない検査で、施設のベッドも長時間専有します。多くの方に低コストで受けていただくことが難しく、予約をしても長く待たされることもあります。便潜血検査でも大腸がん検査としての感度は80%を超えており、初期のがんでもかなり反応しますが、内視鏡検査ではその感度は90%を超え、経験豊富あドクターが実施すると95%を超える感度を維持しているとも言われています。このよう優れた内視鏡検査(大腸カメラ)ですが厚生労働省の
「科学的根拠に基づくがん検診」の評価では大腸がん対策として一定の効果は認めるものの、安全性などに対策や説明が必要として対策型健診として推奨できないという評価となっています。
大腸全体(直腸から盲腸まで)を詳細に観察する方法としては、現時点では、内視鏡検査が最も精度の高い検査法であると言えます。しかし、施術医の経験・技能などによる差も出やすい検査で、様々な理由で盲腸までカメラを入れることができず、大腸全体を観察できない事象や、カメラに写りにくい部位に病変があった場合など見落とし等もある程度見られます。 検査後に腹部の張りや軽い腹痛などが残ることがありますが、通常は数日以内に消失します。
内視鏡検査の安全性
大腸内視鏡検査では一般的にその検査の安全性などの説明を受け、トラブル時の対応や補償について事前に同意書をもとめられます。特に最近は検査時の苦痛を伴わないように、麻薬を含めた麻酔を使用されることが多くなっており、この場合呼吸管理をはじめとする全身のモニタリングが必要になり、麻酔医の配置を行っている場合もあります。
(鎮静剤を利用する内視鏡検査のメリットとデメリット)大腸内視鏡検査に伴う危険性として、以下のようなものが挙げられます。このような危険をさけるよう検査機関は細心の注意を払い、万一生じた場合にも入院治療・緊急外科手術を含め最善の対処をしますが、事前に「絶対にない」とは言い切れないものとしてご理解する必要があります。重篤な偶発症(事故)は、2010年に発表された全国調査報告(2003〜2007年5年間の期間)では大腸内視鏡検査・治療全体での偶発症発生率は0.078%(1000人に1人以下)、また、生検を含めた観察のみの大腸検査にて、発生率0.012%(1万人に約1人)と報告されており、それに関連した死亡が0.00082%(約10万人に1人以下)と報告されています。
日本消化器内視鏡学会が内視鏡専門医の所属する全国518施設で、2003年より2007年までの5年間に起きた内視鏡検査での事故(カメラが腸管を突き破るなど)は1700検査に1回の確率で起きています。胃カメラでの確率は2500検査に1件、大腸内視鏡だけで見ると1400検査に1件となっています。内視鏡検査による死亡例は5年間で46例、27万検査に1件の確率となります。大腸がんの早期発見にはかかせない検査ですが高度な技術を要する検査です。一般の受診者が施術医を選ぶことは難しいですが、偶発症(検査事故)についての説明があり,万一の時の対応や体制がしっかりした医療機関で検査を受けることが重要です。(参考 内視鏡検査を考えるへリンク)
内視鏡検査の偶発的な症状について
@前処置(下剤内服)に伴う腸閉塞および長官穿孔(蝶に穴が開くこと) ・頻度:0.00001%以下
少しでもその危険性のある方(高齢者・初回検査の方、大腸病変を指摘されている方など)については、腹部症状をお聞きしながら慎重に前処置を進めますが、腹痛、吐き気、嘔吐などの症状発生時には検査を中止する場合があります。
A出血・腸管穿孔(腸に穴が開くこと)・頻度:約0.04%(4/10000)
万一、このような重篤な偶発症が発生した場合には、再検査や輸血、緊急外科手術も考慮した治療が必要となる場合があります。また、血液をサラサラにするお薬(抗血栓薬)を常用されている方は、あらかじめ検査機関にお伝えください。
B使用する薬剤(鎮痙剤、 鎮静・鎮痛剤)によるアレルギーショック、低血圧・低血糖・不整脈など ・頻度:非常にまれ
一過性のものがほとんどですが、ごく稀に重篤となる場合もあるため、これまでに薬剤で具合が悪くなった経験がある場合には検査機関に伝えてください。また、鎮痙剤や鎮静剤による影響のため、目のちらつき、眠気およびふらつきが残ることがあります
。
Cその他 上記の緊急処置を要する偶発症の他にも検査後の腹部膨満感、吐き気、空嘔吐、めまいなどの比較的軽微な偶発症が起こり得ます。
これらの多くは検査後の休憩により自然に改善するものですが、持続する場合には必要に応じて点滴などの医療処置が必要になります。国立がんセンター中央病院のホームページの記載によると、中央病院ではほとんどの方が食道・胃内視鏡に引き続き大腸内視鏡を受けておられ、2005年から2009年までの期間にこのような軽微な偶発症は10,519
名中307名(2.9%)に生じ、入院を要した方は2 名(全体の0.016%)であったと、また2004年2 月から2010年8月まで、のべ15,345件検査の中で盲腸に到達できなかったものは89件(0.6%)あったと記載されています。
(
参考 国立ガン研究センター中央病院)
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国立研究開発法人国立がん研究センターがん対策情報センターのホームページへのリンク
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内視鏡検査時の医療事故
内視鏡検査の有効性
大腸内視鏡検査は、大腸のポリープや腫瘍および炎症性腸疾患に対して、最も精度の高い検査法であると考えられています。病変の発見や診断だけでなく、腫瘍と非腫瘍との判別や治療法決定のための組織検査(生検)、および治療まで可能です。その他の大腸検査法として、バリウムを肛門から流し込んで、X線撮影する方法(大腸X
線検査(注腸検査))がありますが、最近は内視鏡検査の安全性がある程度確立されていますので、内視鏡検査を中心に検査を行うのが一般的となっています。
私が人間ドック結果システムの開発を手がけていた健診機関でも、内視鏡の設備を導入して、週に1〜2回、大病院から内視鏡の技術を有している医師を呼んで大腸ファイバー(大腸がん内視鏡検査)を実施していた時期があり、希望者も多く収益性も良好でしたが、他の施設で起きた検査時の事故を調査・検討した結果、万一の時の緊急手術の体制を用意することができず、救急搬送の可能性もあるということで中止した事例があります。
定量検査・陽性反応的中度推計のグラフをどう見るか?
定量検査で出る数値結果をどう見るかについては、様々な議論があります。各種の調査結果がありますが、母集団(調査対象者)の選び方などで結果が大きく変わりますし、当センターの受診者層と一致するかという問題もあり推測の域を出ません。、宮城県対がん協会がん検診センターでの調査では、陰性の9割を占める40ng/ml以下の方については、ほとんど内視鏡検査はしていませんが、大腸がんの国内発症率から推計でき進行がんの確率は0.2%程度であったと考えられます。当センターの検査では、30代の方も多く受診されていますが、30代では0.01%未満と推計しています。進行がんの比率は50ngから現れ」ており上昇してくるのは250〜500ngを超えてからという調査も発表されており、150ngまでは陰性とする論文もあります。
自分の定量値から、内視鏡検査(精密検査)にすすむべきかは、医師と相談しても非常に決めかねるのが難しいと思います。「陽性ですので受けておこう」というのは簡単ですが、数値が出てしまうと、通常なら陰性となる40ng程度でも、大腸がんは出現していますし、「検診結果説明でも医療訴訟が起きている」現状ではわずかでも血液を検出した場合内視鏡検査をすすめる事になるかもしれません。
大腸がんは早期発見で治る病気です。
自宅で簡単! 郵送型便潜血検査申込へのリンク
代金引換で直接発送します。
お急ぎの方はアマゾンをご利用ください。
郵送いただいた検体から、1週間程度で結果をお届けします。
40歳までの検診や人間ドックを考える
75歳までの健診や人間ドックを考える
大腸がんは早期発見で治る病気です。
当センターの大腸がん検査は
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この検査は
検便で、便に混じった血液を調べる検査です。2日間の便を検査し、毎年受けることで精度を高めています。
この検査で陽性となったときは、大腸ファイバー検査を受けてください。
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受診しやすい料金
自宅で手軽に出来る大腸がん検査キットを着払いでお送りします。定性検査の料金は、おひとり 1400円 送料560円(5名分まで)です。(定量検査もお選びいただけます)クレジットカードやコンビニ払いを希望される方、お急ぎの方はアマゾンよりご注文ください。ご家族など、まとめて申し込まれるとお得です。人数分の返信用クッション封筒(切手不要)をお送りいたします。
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お届けする、検査キットの「採便容器」で二日間、便を採取してください。これを郵便でご返送してください。約1週間で結果をお送りします。この検査キットは便を採取するための容器で医療機器ではありません。
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検査の実施は
当院にお送りいただいた検体は、多くの医療機関と同様に大手の検査会社のラボトリーで検査を実施しています。 -
検査キットの使い方
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配達日の指定について(アマゾンを利用される場合は配達日の指定も可能です)
検査キット発送は代金引換郵便を使用します。配達日時の指定はできませんが、お留守の場合は「不在票」がポストに入ります。不在票に記入されている郵便局に連絡することで、希望の日時に再配達してもらうことが可能です。ただし1週間程度で返送されてしまいますので、不在票が届いたときは、お早めに郵便局に連絡してください。
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通販型大腸がん検査の流れ
@ネットでお申し込みください。
☆申し込み受付時と検査キット発送時に案内メールをお送りしています。ドメイン登録をされていると、これらのメールは届きません。
A代金引換郵便で採便キットが届きます。料金を支払い、キットをお受け取りください。
☆土・休日の発送は行っていません。
B問診票を記入して、説明書のとおり採便を行ってください。⇒採便容器と記入した問診票を返送してください。
C採便は二日間行ってください。
D郵便局またはポストから返送してください。(返送料金は当方で負担します。)⇒採便後、速やかに発送してください。2回目の採便まで日数が開くときは別々に発送してください。最初の発送時に問診票を同封してください。また後日送付することを明記してください。2回目の発送は1回目から1週間以内にお願いいたします。なお2回目の発送については封筒・送料はご負担ください。
E検査結果は1〜2週間後に郵便でお送りします。
☆検査結果が異常ありの場合、結果を書留郵便で郵送しています。
☆検体発送後、14日間たっても結果が届かない場合はご連絡下さい。(原則として検体到着後2営業日後に普通郵便で結果を返送しています)
大腸がん検査を受けましょう
増えている大腸がん
毎年、12万人もの方が大腸がんを発症しています。大腸がんの発症は60歳以上の方に多いため、医療に携わる者も含めて若い人は、たとえ症状が出ていても見過ごされがちですが、30代で1000人程度、40代では約5000人の方の大腸がんが発見されており、見過ごせない実数となっています。仕事や子育てに忙しい30〜50代の方々の大腸がんは、高齢者に比べ侵攻が速いことが多く、また発症した時の仕事や家族の生活に与える影響も深刻です。近年、大腸がんは早いうちに見つかれば治る病気と言われていますので、特に早期発見が重要と考えますが、この検査の受診率は高くありません。
私たちは、出来るだけ多くの方に大腸がんの検査を受けていただけるように、運用方法を工夫し、コストを見直して「郵送型の大腸がん検査」を始めました。インターネットを利用し、郵送型とにすることで、何度も医療機関や保健所に足を運ばなくても、手軽にお受けいただけます。検査の信頼度を上げるため、大手の検査機関に検体検査は依頼しています。
多くの自治体で40歳以上の方などを対象に大腸がん検診を実施しています。詳細は、各地の保健センターや保健所などにお問い合わせください。
大腸がんに関するリンク集
*財団法人 日本対がん協会 大腸がん検診の流れとその効果
*大腸肛門病辞典 「大腸.COM」
*科学的根拠に基づくがん検診推進のページ
*特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会「ひろげよう。大腸がん検診の輪」
*がんの統計 - がん研究振興財団