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40歳を超えると生活習慣病やがんを発症する方が増え始めます。会社にお勤めの方の多くは事業所検診を、また国民健康保険に加入されている方は、自治体が行う特定検診を年に1回受診することになります。大企業や公務員の方は定期的に腹部エコーやバリウム検査(胃がん検診)などの検査を毎年、受けておられると思います。40歳を超えると多くの自治体では各種がん検診の公費負担や年齢によっては人間ドックの費用の助成も行われるようになります。(
40歳未満の方はこちらをご覧下さい)
職域検診(事業所検診)
事業主は、職員の健康管理を求められており、法律で職員への検診が義務付けられています。検診の内容は職種・年齢などにより、それぞれ検査項目が指定されており、正職員あるいはそれに準ずる従業員に対して年に1回の事業所検診や規定された回数の特殊検診などが行わtれています。一般的な検査項目は40歳以上は身長・体重・視力・聴力・血圧・検尿・胸部X線・採血(貧血・糖尿・肝機能・脂質など)・心電図で40歳未満は採血・心電図が指定されていません。
*事業所にお勤めの方で、事業所が検診を行っていない場合、加入されている健康保険にお問い合わせください。協会けんぽでは35歳以上の方を対象に「生活習慣病予防検診」を実施しています。7000円程度で事業所検診にバリウム検査・大腸がん検査と血液検査をいくつか追加した検査を受診することができます。保険を使わずに自費で検診を受ける場合、事業所検診を自費で受けるのがよいかと思います。事業所検診は多くの医療機関で実施されており、競争も激しくネットなどで調べれば比較的安価で実施しているところもあります。(価格は数千円から2万円くらいまで医療機関によって様々です。よく調べて受診してください。)
特定健診
40歳以上の国民を対象にメタボリックシンドロームを中心とした生活習慣病対策の健康診断です。国費からの補助があり加入されている健康保険を通じて(国民保険加入者は自治体を通じて))受診します。事業所にお勤めの方の扶養家族の方も、原則この検診の対象になります。検診項目は身長・体重・腹囲・血圧・検尿・採血(貧血・糖尿・脂質・肝機能など)で、一定の条件で心電図などが追加されます。保険者により追加の検査項目があったり、料金が異なります。前項の事業所検診に組み込まれている場合があります)
*40歳以上でなんらかの健康保険に加入されている方は年に一回、特定検診を受診する権利があります。保険証に書いてある保険者に電話で問い合わせして受診方法を問い合わせしてください。国費からの助成がありますので安価で受診できます。(無料〜数千円)また健康保険に加入していない人は(生保を含む)自治体に問い合わせしてください。受診方法があるはずです。特定検診には胸部レントゲンなど基本的な項目が抜けている場合があります。自治体の「結核検診」などと組み合わせることで検診項目を充実させることができる場合があります。
*協会けんぽや各種組合健保に加入されている方の40歳以上の扶養家族については、各種保険者を通じて特定検診を受診することになります。
健保組合や共済組合加入者の配偶者などを対象に、より詳しい健康診断が設定されている場合があります。
住民健診
40歳以上の住民に対し自治体が実施していた健康診断を総称していたが、2008年より特定検診制度が始まったため、一般的な健康診断は国民健康保険加入者のみを対象に実施している特定検診と、住民全体を対象とする各種がん検診など自治体が実施する健康診断があります。
また生活保護や保険未加入者も住民検診を受診することになります。
*職域検診や特定検診でカバーできない検診、あるい一部のがん検診の費用の助成が行われています。特に自費で検診を受けられる方は住民検診のメニューをよく確認してください。
簡易人間ドック
健康診断に腹部エコーと胃レントゲン(バリウム)、便潜血検査を追加したもの。エコー・胃レントゲンの機器は比較的広く普及しており、検査自体は技師のみで検査は可能であるため(判定・診断は医師が行う)、2〜3万円台で実施が可能。
*大企業や公務員の事業所検診などでは、これらの検査を追加している場合も多く。このあたりの項目までは受診されている方もかなりおられると思います。また胃レントゲン検査やエコー検査は一部の自治体では年齢をくぎって費用の大部分を補助してくれる場合があります。
人間ドック
通常の健康診断に、様々な検査を追加して、1〜2日間で「生活習慣病からがん検診まで」幅広く検査を一気に実施する。
PET検査・内視鏡検査・CT検査・MRI検査など高額な医療機器を使い、医師が施術する検査も少なくなく、料金は非常に高額になります。
時間のないエクゼクティブや富裕層の受診を想定しており、また40代〜50代あたりではがんの発症率がそもそも低いため、料金に見合った満足感を得るため豪華なロビーと食事、ホテルとの提携など価格に見合った付帯サービスの演出も行われます。
*会社が負担する事業所検診や保険診療となる病気のときに行う検査と違って、検査費用が全額自己負担となる人間ドックに対する受診者の要求は厳しいものになります。健康な人に、高額な最新医療機器を使って高度な検査をしても、そもそも見つけることが出来る癌にかかっている人は、ほんの僅かですから、検査だけでは受診者に満足感を感じてもらえません。たとえばPET検査で癌の早期発見→治癒という事例も、世の中にはあるとは思いますが、やはりお金に余裕のある方が、自分の健康を確認し、リラックス・リフレッシュしていただく施設が人間ドックなんじゃないかなとと思います。
人間ドックとまではいかなくても、追加を検討したい検査項目
そう考えると、健康診断はどこまでやればいいのか!というのも、余裕のあるお金次第ということになります。しかし乳がん・子宮がんを除くと50代くらいまでのがんの発症率は非常に低く、がんの早期発見を考えると、人間ドックのコスト感は非常に割高になります。
会社が負担してくれる事業所検診や一部料金を負担するだけで受診できる特定検診や住民検診など、通常の一般的な健康診断では、生活習慣病(高血圧・高脂血症・糖尿病など)や不整脈(心電図)、結核(胸部レントゲン)、肝臓や腎臓が弱ってないか、通風くらいまではわかります。そして問題がある所見が出れば、精査を指示されます。検診結果で異常所見が出れば、保険診療で精密検査を受けることが出来ます。(ただし、人間ドックとちがって、病院の待合室に長く待たされながらの検査となります)
残念ながら一般的な健康診断は、がん検診の部分が弱いですね。厚生労働省では「がん検診のあり方に関する検討会」を2012年から12回開かれており、また「
科学的根拠に基づくがん検診ガイドライン」が公開されています。(
ガイドラインのパンフレット)この中で推奨されているがん検診は、
グレードA |
便潜血検査 |
グレードB |
胃レントゲン 胃カメラ 子宮頚部細胞診 マンモグラフィ |
グレードC |
大腸カメラ |
特にグレードA・Bの検診は、各自治体に対して費用を助成してでも広く国民に受診を奨励したいとしています。
これらはの検診の多くは自治体に申し込めば年齢の制限などはありますが、検査費用の助成があり安価で受けることができます。
大企業や公務員の職場検診は、一般の事業所検診に、便潜血検査 、胃レントン、腹部エコーなどが追加されていることが多いようです。これらの検査はそれ以外の方も自治体で助成されることが多く、また郵送型大腸がん検査(便潜血検査)はネットで申し込めば2000円くらいで受けることもできます。胃レントゲンは胃ガンだけでなく胃潰瘍なども見ることが出来ますし、最近は中小企業の事業所検診でも組み込まれていることが多く、かなり多くの方が受けておられると思います。(協会けんぽではバリウム検査などを追加した生活習慣病予防検診を行っています。、また一部の自治体では40歳・50歳以上の住民に対し検査料を助成しています)腹部エコーは肝臓、膵臓などのチェックとともに癌が見つかることもあります。このあたりの検査は追加してもよいと思います。
【心臓の検査】
心電図は不整脈ははっきりと出ますが、それ以外の心臓の疾患を判断を下すには、かなり微妙な波の変化を見る必要があります。それぞれの疾患に波に特徴が現れるのですが、曖昧な部分もあり、ドクターの技量によって判断もマチマチです。心臓エコーの検査、これまで受けたことがないのでしたら、受けてみるのは如何でしょうか。逆流など血流の様子、弁の様子をしっかりと見てもらうことができます。
【がんの早期発見】
がんの早期発見を考えるのなら、がん検診を繰り返し受ける必要があります。どんな高度な検診も、たまにしか受けなければ早期発見は望めません。そのあたりを考慮して下さい。まずタバコをすわれる方は胸部のCT検査。胸部レントゲンではなかなか見つけることの出来ない、腫瘍や炎症がはっきりと写り、肺がんの早期発見の切り札なんじゃないかと思います。子宮がん検診、乳ガン検診、前立腺癌検診も多くの自治体に申し込むことで安価で受けることが出来ます。
【効果的ながん検診】
60代までに発症するがんの過半数は
乳がんや
子宮がんなどの女性特有のがんです。特に40〜50代においての比率はとても高くなっています。乳がん検診や子宮がん検診は多くの自治体で費用の大部分を助成する制度が実施されています。早期発見に大きな効果が期待されます。必ず毎年受診しましょう。
続いてこの年代で多いのは
大腸がんと
胃がんです。発見には内視鏡検査が必要なのですが、この検査は費用がかかりますし、身体的にも精神的にもきつい検査です。早期発見のためには毎年受ける必要もあります。しかし
大腸がんの82%は便潜血検査で陽性であったと、また
胃がんの99%はピロリ菌感染者であったということが報告されています。便潜血検査の費用も多くの自治体で助成制度があります。またインターネットで申し込めば便潜血検査は2500円くらいでピロリ菌検査も3500円程度で自宅で簡単に検査が可能です。これなら毎年受信が可能ですね。
近年、増えているのが
肺がんです。「タバコを吸わないから大丈夫」とお考えの方も多いと思いますが、これだけ禁煙が進んでいる中でも増加しています。
増え続けるトラックの排気ガスやPM2.5による大気汚染などタバコ以外の要因もいろいろと考えられます。しかし胸部レントゲンによる肺がんの早期発見は非常に難しいのが現実です。健康診断では毎年できるだけ同じ施設で受診して、前回の写真としっかり比較してもらってください。出来れば呼吸器科のドクターに写真を見てもらうことも効果があると考えます。費用はかかりますが胸部CTによう肺がん検査は肺がんの早期発見を狙える検査となります。
マンモグラフィー
お若い方は乳腺エコーの方が良いかもしれません。40才以下でも自治体で助成される場合があります。確認してください。
胃レントゲン
胃の調子が良くなければ、胃レントゲンを希望してみてください。医師の指示が出れば保険診療で胃レントゲンを受診することになります。(費用は数千円です)
胃カメラ
胃がんをはじめとする診断、治療方針の決定になどにおいて、とても重要な検査です。デジタル技術の進展に伴い内視鏡は低価格化と小型化が進み、画像精度は上がり鮮やかな画像に高い評価を行うドクターが増えています。しかしこの検査は治療目的や胃レントゲンやピロリ菌の検査で陽性の場合はともかく、人間ドックや健康診断ではよく考えて受診してください。胃カメラの検査精度は施術医による個人差が大きく、死亡事故も含む数千件に1件の割合で重大事故も起きています。(胃カメラは多くの医療機関で施術前に「検査事故時の対応や補償」について同意書にサインを求められます。このあたりの説明と体制のしっかりしている医療施設で受診してください。)
(参考 内視鏡検査を考えるへリンク
ピロリ菌検査
ピロリ菌の感染によって起きる萎縮性胃炎に長年侵されることによって胃がんが起きると言われてります。胃がん患者の99%からピロリ菌が検出されたという報告もあります。ピロリ菌が陰性なら毎年の胃がん検診も不要であると語るドクターも数多くいます。ピロリ菌検査としては便から直接ピロリ菌の存在を調べる抗原検査と、ピロリ菌感染によって体内に作られる血液や尿中の抗体を調べる抗体検査の2種類があります。この検査で陽性なら除菌治療を行います。2013年よりピロリ菌の除菌治療は保険適用になりました。ピロリ菌検査は抗原検査でもネット申し込みで3500円程度です。ピロリ菌検査には血液や尿から調べる抗体検査と、便から調べる抗原検査があります。直接ピロリ菌の存在を調べる抗原検査の方が精度お高く、除菌後の再感染もチェック可能ですが、医療機関ではその場で採取できる尿や血液から調べる抗体検査が多く利用されています。ピロリ菌に感染すると体内で作られる抗体を調べるため、タイムラグが起きたりすることもあります。ピロリ菌陰性の場合、胃カメラなどのリスクのある検査は不要ではないかと主張するドクターも増えています。このあたりは慎重に検討する必要があります。
胸部CT検査
煙草を吸われる方など、保険診療での受診は難しいかもしれませんが、相談してみるのも良いかもしれません。肺がんの早期発見はこれしかありません。肺炎などもよくわかります。
便潜血検査
大腸がんのスクリーニング検査です。郵送型大腸がん検査ならネット申し込みで2000円くらいで受けることができます。大腸がんの確定診断には大腸カメラの受診が必要ですが、大腸カメラは費用がかかり身体的にもリスクが高いため、早期発見のために繰り返し受診することが難しいため、手軽な検便で調べる便潜血検査で事前チェックし、陽性の場合は大腸カメラなどの精査を行うことになります。
(参考 内視鏡検査を考えるへリンク
肝炎ウイルス検査
日本での肝臓がんの原因の約90%はウイルス感染です。C型肝炎ウイルス(HCV)が原因となっている場合が全体の約70%、B型肝炎ウイルス(HBV)が原因となっている場合が全体の約20%です。受けたことがない方は、多くの自治体で無料で調べる事ができます。肝炎検査で陽性の方は腹部エコーも受けてください。保険診療になります。
腹部エコー・頸部エコー
採血で脂質異常・高脂血症の所見があれば希望してみてください。医師の指示が出れば保険診療で費用は各数千円です。
心臓エコー
心電図に所見があれば、一度心臓エコーを希望してみてください。医師の指示が出れば保険診療で費用は各数千円です。心電図は不整脈ははっきりと出ますが、それ以外の心臓の疾患を判断を下すには、かなり微妙な波の変化を見る必要があります。それぞれの疾患に波に特徴が現れるのですが、曖昧な部分もあり、ドクターの技量によっては判断もマチマチです。心臓エコーの検査、これまで受けたことがないのでしたら、受けてみるのも如何でしょうか。逆流など血流の様子、弁の様子しっかりと見てもらうことができます。
なにか病気を疑う症状があるときは、医療保険が使えます。ない方ならば、このあたりの検査を「一度に受けたいなら」費用はかかりますが人間ドックを受ける理由はあります。自治体の助成や保険診療でと考えるなら、検診結果説明時に追加検査を医師に相談するなり、要医療や要指導、経過観察となっている検査結果があれば大病院でも紹介状なしで受診できますので、結果表をお持ちになってこれらの追加検査をお願いされるのもよいと思います。
40歳までの検診や人間ドックを考える
75歳までの健診や人間ドックを考える
大腸がんは早期発見で治る病気です。
自宅で簡単! 郵送型便潜血検査申込へのリンク
代金引換で「自宅でできる大腸がん検査キット」を直接発送します。
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郵送いただいた検体から、1週間程度で結果をお届けします。
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増えている大腸がん
毎年、12万人もの方が大腸がんを発症しています。大腸がんの発症は60歳以上の方に多いため、医療に携わる者も含めて若い人は、たとえ症状が出ていても見過ごされがちですが、30代で1000人程度、40代では約5000人の方の大腸がんが発見されており、見過ごせない実数となっています。仕事や子育てに忙しい30〜50代の方々の大腸がんは、高齢者に比べ侵攻が速いことが多く、また発症した時の仕事や家族の生活に与える影響も深刻です。近年、大腸がんは早いうちに見つかれば治る病気と言われていますので、特に早期発見が重要と考えますが、この検査の受診率は高くありません。
私たちは、出来るだけ多くの方に大腸がんの検査を受けていただけるように、運用方法を工夫し、コストを見直して「郵送型の大腸がん検査」を始めました。インターネットを利用し、郵送型とにすることで、何度も医療機関や保健所に足を運ばなくても、手軽にお受けいただけます。検査の信頼度を上げるため、大手の検査機関に検体検査は依頼しています。
多くの自治体で40歳以上の方などを対象に大腸がん検診を実施しています。詳細は、各地の保健センターや保健所などにお問い合わせください。
大腸がんに関するリンク集
*財団法人 日本対がん協会 大腸がん検診の流れとその効果
*大腸肛門病辞典 「大腸.COM」
*科学的根拠に基づくがん検診推進のページ
*特定非営利活動法人ブレイブサークル運営委員会「ひろげよう。大腸がん検診の輪」
*がんの統計 - がん研究振興財団